『谷穹 抽象と静寂』展覧会レポート
展覧会・イベントレポート VOL.30
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
東京都
2024.12.12 – 12.25
セイコーハウスホール
石川県
2024.12.17 – 2025.2.24
国立工芸館
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2024.12.21 – 12.29
essence kyoto
さまざまなプロジェクトが推進された「有田焼創業400年事業」。あれから6年を経た今も、有田焼窯元の若手有志で構成するチーム「NEXTRAD」は、ときに産地の枠組みをも超えながら、ものづくりの在り方を問い続けている。
メンバーの徳永弘幸さん、前田洋介さん、藤本浩輔さん、福田雄介さんに、持続可能な産地を目指す彼らの活動について語ってもらった。
インタビュアー / 堤 杏子(HULS)
事業規模や形態の異なる、伊万里・有田の窯元の若手経営者や後継者などで2017年に結成したチーム(2022年現在:14名)。各社の取り組みや産地の抱える課題や方向性などを議論、窯業関係者を招いての意見交換などを行ない、情報の共有とともに有田焼産業における持続可能な未来を考え、発信することを目的に活動している。次代(NEXT)の伝統(TRADITION)を考え、若手集団であるからこそ革新的(RADICAL)に取り組もうという想いから、「NEXTRAD」をチーム名としている。
徳永:最初は毎月持ち回りで議長を決めて、自分たちが今悩んでいることや、製造・販売の問題など、テーマを設定して話し合うところから始まりました。今も月に一度実施しています。こうしたことを進めていく中で、「自分たちの問題意識を、外部の人たちにも知ってもらいたい」という意見が出てきたので、これを発信する場として「展示会をしよう」という話が盛り上がっていきました。それが2019年くらいのこと。その後、新型コロナの流行で一時は活動もできなくなっていたんですが、昨年の秋にようやくイベントを実施することができました。
前田:有田のものづくりを知ってもらいたいですね。特に若い人たちに伝えて、ファンになってもらいたい。有田焼は有名ですが、なんとなく昔の古典的なイメージを持っている人も多い。でも実際は、窯元によって個性のある商品がたくさんあるので、それをもっと多くの人に知ってもらいたいです。イベントをきっかけに、ものづくりをしたい人にも有田に来てもらえたら、人手不足の問題の解消にもつながるかもしれない。
福田:持続可能な産地になっていく必要があると思っています。そのためには知ってもらわないといけない、若い人にもきちんとアプローチしないといけない。全ての行動の根っこには、「この先も有田焼を作り続けて次の世代に渡していくためには、今何をしなければいけないのか」という意識があるんですよね。我々が考えていることや製造工程を知ってもらうことがきっと将来につながるから、その一つの手段として、イベントをやっている。NEXTRADというチームで活動するのも、今のうちにみんなでさまざまな考えを共有していた方が、将来スムーズな産地運営ができるからという側面がある。
こうした意見交換ですが、徳永さんが青年部の会長になってからは、他産地とも交流をしていこうという動きが加速していて、NEXTRAD以外でもそういうことをやっています。最近新しく交流し始めたのは、波佐見焼の作り手さんたち。
藤本:峠を越えるだけでずいぶん大変だからね(笑)。
福田:県も違うし歴史的な背景もあって、これまでほとんど交流は無かったんですよ。そこを現会長である徳永さんが、突破していこうということを掲げられて。
徳永:そんな大層な……(笑)。でも結局、波佐見の窯元さんが取引している生地屋さんや型屋さんは、有田の窯元も懇意にしていることがあるので、おそらく有田が抱えている課題で、波佐見にも共通していることって多々あるよな、と思って。他県という行政的なハードルはありますが、ラフな感じで現場で問題を共有できていれば、今後話もまとまりやすくなるんじゃないかと、そういう思いでやっています。
プロフィール
・徳永 弘幸 / 徳幸窯
徳幸窯の5代目として、業務用食器を主に製作。転写の技術を用いた華やかな雰囲気の器づくりを得意とする。NEXTRAD前リーダー。
・前田 洋介 / 皓洋窯
現代の生活に寄り添うような家庭用の器を製作。熟練した職人と共に、どこかほっとするような器づくりに励んでいる。NEXTRAD現リーダー。
・藤本 浩輔 / 藤巻製陶
藤巻製陶で家業に従事する傍ら、次代の伝統産業の在り方に深く想いを巡らすようになる。また、地元の高校で教壇に立ち地場産業・伝統産業の啓蒙・PR活動にも取り組む。NEXTRAD初代リーダー。
・福田 雄介 / 福珠窯
伝統とモダンさを融合したデザインを得意とし、いつの時代にも美しく感じられ永く愛される器づくりを心掛けている。NEXTRAD現ウェブ担当。
NEXTRAD Interactive Exhibition / 展示・体験イベント
『Go Forward 2022 ―磁器のものづくりに関わる“14P”のこれから―』開催概要
日時:2022年11月3日(木・祝)~5日(土) 9:00~17:00
メイン会場:佐賀県陶磁器工業協同組合 有田窯元ギャラリー arita mononosu
(佐賀県西松浦郡有田町外尾町丙1217番地)
オフィシャルサイト:https://nextrad.jp/