石川県が輪島塗の創造的復興に向けた官・民・産地共同プロジェクトを発表
工芸トピックス VOL.31
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東京都
2025.1.15 – 1.20
日本橋三越本店
東京都
2025.1.16 – 1.26
セイコーハウスホール
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2025.1.16 – 1.29
和光 本店地階 アーツアンドカルチャー
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2025.1.17 – 1.31
HULS GALLERY TOKYO
石川県は2025年1月6日の知事年頭記者会見で、輪島塗の復興に向けたプロジェクトの内容を発表した。
日本を代表する伝統的工芸品の一つで、能登の重要な地場産業である輪島塗だが、近年の生活様式の変化によるマーケットの縮小により売上は減少。さらに2024年に発生した能登半島地震と奥能登豪雨の災害で、産業は甚大な被害を受けている。現在、震災前に約400あった輪島塗事業者の約8割が避難先から戻ってきているが、特に若い作り手の多くが将来に不安を感じ、輪島から離れることを考えているという。また、輪島塗事業者(塗師屋)に若手を育成する余裕がなくなっているのも現状だ。
プロジェクトは、官・民・産地が共同で輪島塗を支える若手人材を育成することで、若者を呼び込み、国内外に向けて輪島塗を発信し、輪島塗の新たな世界を切り拓くことを目的に発足。石川県、輪島市、経済産業省、輪島漆器商工業協同組合などの輪島塗事業者、北國新聞社、読売新聞社、日本政策投資銀行によるワーキンググループで検討を重ねてきた。2つの大きな柱として、輪島塗の若手人材の養成施設の創設と、養成施設の卒業生を雇用する輪島塗事業者への奨励金の交付が想定されている。具体的には、輪島市に開設する養成施設で年間5人程度、概ね40歳以下の若者を対象に、約2年間、技術面ならびに新商品開発や海外市場の開拓につながるマーケティングの指導を行なう。施設には作品展示のスペースも設け、観光客向けのワークショップの実施など産業観光の機能も付与。施設で学ぶ生徒の住居も確保される。また、卒業後に輪島で仕事を続けられるようにすることが何より重要という関係者の声も多く、卒業生を雇用する輪島塗事業者に、卒業後約3年間の奨励金の交付が検討されている。
新年度では、構想策定委員会を設立し具体的に取り組みを進める予定だ。早ければ2027年度中の施設開設を目指している。
◾️関連情報
石川県ホームページ 知事年頭記者会見(令和7年1月6日)
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/chiji/kisya/r7_01_06/070106.html