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津軽塗が繋ぐ父娘の物語 映画『バカ塗りの娘』9月1日全国公開

青森の伝統工芸・津軽塗をテーマとした映画『バカ塗りの娘』が9月1日に全国公開される。タイトルにある“バカ塗り”とは青森県では馴染みのある、津軽塗を指す言葉。完成までの工程が四十八工程にも及ぶ津軽塗は、バカに塗って、バカに手間暇かけて、バカに丈夫と言われるほど、“塗っては研ぐ”をバカ丁寧に繰り返して作られている。本作は津軽塗の完成までの工程を一つ一つ丁寧に映し出しながら、津軽塗が繋ぐ父娘の絆と家族の物語を、四季折々の風景や土地に根付く食材と料理、そこに生きる人々の魅力を織り交ぜ描いている。

原作は、第1回暮らしの小説大賞を受賞した『ジャパン・ディグニティ』(髙森美由紀著)。以前からものづくりへの関心を持っていた盛夏子プロデューサーが、映画にして伝える意味を感じ、鶴岡慧子監督と入念なリサーチを重ねて企画が進められた。津軽塗の描写に関しては青森県弘前の職人と密に擦り合わせ、脚本の完成までに2年半という歳月がかかっている。様々な職人との出会いの中でも、松山漆工房の二代目の職人で、日本漆芸展や日本伝統工芸展などで多数の受賞歴を持つ松山継道氏、本作の津軽塗指導を担当した息子の松山昇司氏の協力は大きく、工房内の様子は実際に長年使用されてきた松山漆工房で撮影が行なわれた。漆塗りの道具や漆を乾燥させる漆風呂など、作中で圧倒的な存在感を見せている。その他にも、取材した際に感銘を受けた職人の言葉がセリフに反映されたりと、津軽塗に真摯に向き合って制作が進められた。

津軽塗の職人を目指す娘・美也子役に堀田真由、職人の父・清史郎役には小林薫を起用。二人とも実際に地元の職人から津軽塗の技法を学び撮影に挑んでいる。青森県弘前市で全編が撮影された本作では、漆塗りの魅力や制作過程以外にも、工芸品の購買率の低下や後継者不足など、津軽塗だけではなく日本の伝統工芸全体が抱える問題が社会的背景として描かれている。この映画を見ることで、伝統工芸やものづくりの価値を感じて欲しいという、熱いメッセージが伝わってくる作品だ。

 

◾️関連情報
映画『バカ塗りの娘』9月1日全国公開
出演:堀田真由/坂東龍汰 宮田俊哉 片岡礼子 酒向 芳 松金よね子 篠井英介 鈴木正幸
ジョナゴールド 王林/木野 花 坂本長利/小林 薫
監督:鶴岡慧子 脚本:鶴岡慧子 小嶋健作
原作:髙森美由紀「ジャパン・ディグニティ」(産業編集センター刊)
製作:「バカ塗りの娘」製作委員会 制作プロダクション:アミューズ映像企画製作部 ザフール
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会

公式サイト:https://happinet-phantom.com/bakanuri-movie/
公式Twitter/Instagram:@bakanuri_movie

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KOGEI STANDARD

編集部

KOGEI STANDARDの編集部。作り手、ギャラリスト、キュレーター、産地のコーディネーターなど、日本の現代工芸に関する幅広い情報網を持ち、日々、取材・編集・情報発信を行なっている。