『谷穹 抽象と静寂』展覧会レポート
展覧会・イベントレポート VOL.30
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
東京都
2024.11.27 – 12.9
日本橋髙島屋
2024.11.28 – 12.8
セイコーハウスホール
東京都
2024.11.30 – 2025.2.2
松濤美術館
岐阜県
2024.11.30 – 2025.3.16
岐阜県現代陶芸美術館
日々ガラスと向き合って制作を行なっている職人達が、ガラスのさらなる美しさを求めて生み出した新しいデザイン。暮らしに溶け込み、彩りを添える新作が今年も17シリーズ誕生した。
2サイズのプレートと小鉢が揃う《hasande hasande(はさんで はさんで)》は表面の凹凸による光と影が美しいデザイン。先端が平らなトングのような道具でガラスを挟んで少しずつ広げていくことで、不均等な厚みを持つ独特の表情が生み出されている。
アイスランド語で森を意味する《mork(モルク)》は、ガラスを巻きつけるようにして成形し、さらにその上に粉状のガラスをまぶすことで、重なり合うガラスの奥行きや、艶とマットの質感の違いが楽しめる器。北国の森のような、自然が持つ奥深い情景を想起させる模様が特徴だ。
水たまりをイメージしてデザインされた《charco(チャルコ)》は、飲み口と底の両方が曲線を描いているのが特徴。この形状はガラスを回しながら吹くことができず、型に向けて断続的に息を吹き込んで作られている。飲み口のカーブによって口当たりの変化が楽しめるグラスだ。
《coconisotte(ココニソット)》は小ぶりなサイズ感と、食べ物が掬いやすいよう低めに設定された高さが使いやすい実用的な器。小さな高台もありスタッキングも可能。陶芸で使われる鎬の技法をガラスで表現しており、鎬の深さとガラスの軽やかさが丁寧な調整によって実現している。
《turbo(トゥルボー)》は地上から雲へと伸びる上昇気流のような形状のフラワーベース。型でガラスの表面に模様を付けた後、取り出したガラスを捻りながら少しずつ息を吹き込んで渦巻状のデザインを完成させている。華やかなブーケや枝物の花にも合う存在感だ。
《morbi(モルビ)》は透明のガラスに不透明の色ガラスが柔らかく漂うデザイン。ホワイトに加えて、スガハラの今までのカラーラインナップには無い、モカとオパールブルーグレーが新たに登場した。口が窄まっていて高さもあるフラワーベースは顧客の声から生まれた形状で、そのまま置いても絵になる佇まいになっている。
今回紹介した製品以外にも、職人の思いが感じられるデザインが多数発表されている。特設ウェブサイトに掲載の新製品のエピソードや開発秘話とあわせて、ガラスの魅力に触れてみたい。
◾️関連情報
『SGHR NEW DESIGN PREVIEW 2024』特設ウェブサイト
https://www.sugahara.com/ndp2024/