『谷穹 抽象と静寂』展覧会レポート
展覧会・イベントレポート VOL.30
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
東京都
2024.11.27 – 12.9
日本橋髙島屋
2024.11.28 – 12.8
セイコーハウスホール
東京都
2024.11.30 – 2025.2.2
松濤美術館
岐阜県
2024.11.30 – 2025.3.16
岐阜県現代陶芸美術館
INSIGHT
VOL.1-32 更新
KOGEI & Me VOL.31
千葉県出身の松浦健司さんは、菅原工芸硝子で製品開発の責任者を務めるガラス職人。工学部の大学生だった頃にガラス教室へ通い始めたことがきっかけで、ガラスの魅力に取り憑かれ、大学卒業後に地元のガラスメーカーである菅原工芸硝子に入社した。松浦さんにとって、ガラスは「やっていて飽きない、面白い素材」。一つ完成させると、すぐにまた作りたくなるのだという。ガラスの透明感の中にきらきらした表情をいかに引き出すか、...
KOGEI & Me VOL.30
四津川元将さん・ 晋さん兄弟は、高岡銅器の企画販売を行なう四津川製作所で、それぞれ社長と専務を務めている。元将さんは、大学卒業後まもなく入社。晋さんは、別会社にてアメリカ駐在を経験した後、家業のものづくりの魅力を再発見し、2003年に帰郷。元将さんとともに新ブランド「KISEN」の立ち上げに尽力した。現在、老舗ブランド「喜泉堂」は元将さんが、「KISEN」は晋さんが中心となって牽引している。新旧ブ...
KOGEI & Me VOL.29
伊万里鍋島焼の窯元、畑萬陶苑の5代目で、作家としても活動を行なう畑石修嗣さん。三人兄弟の長男として、伊万里大川内山で生まれ育った。東京の美大へ進み、彫刻を専攻。黒御影という真っ黒な石を好んで用い、視覚的な演出を工夫しながら作品の制作に励んだ。帰郷後はひたすらやきものの修練に邁進した。その作業は連日深夜に及び、無我夢中に技を磨き続けた。そんな修嗣さんの根底にある想いは、鍋島への敬愛だ。受け継がれてき...
KOGEI & Me VOL.28
絵具を調合し、版木に拡げる。その上に和紙を慎重に乗せて、バレンで摺る。息を飲んで見守っていたこの一連の作業の後に、ぱっと版木から剥がされた和紙には、奥行きのある美しい色が乗っていた。「ただ色を乗せているだけですけど、摺り方の質次第で、遠近感が生まれたり物質感が出たりする。それが一枚の絵の中でぴたりと合うと気持ちいい」と笑うのは、高橋工房で摺師として働く早田憲康さん。美大卒業後、建造物の修復関係の仕...
KOGEI & Me VOL.27
折井宏司さんは、高岡銅器の着色を幅広く手がける「有限会社モメンタムファクトリー・Orii」の創業者。前身である老舗「折井着色所」の3代目として、富山県高岡市で生まれ育った。大学卒業後は東京のIT関連会社で仕事に邁進し、充実した日々を送っていたが、26歳の時に家業を継ぐことを決意し、帰郷。だが当時は、バブル崩壊の影響から伝統工芸業界の衰退は必至と思われた。宏司さんは昔ながらの高岡銅器に大きな魅力を感...
KOGEI & Me VOL.26
常滑の急須職人である伊藤成二さんは、20歳の時に焼き物の世界に入った。当初は湯呑を中心とした制作に携わっていたが、高度経済成長時代の勢いに陰りが見えてきた頃、より制作が難しく付加価値の高い急須主軸の制作販売スタイルへと舵を切った。「お茶の世界での急須は、芝居でいう主役。いつかは主役を担いたいと思っていた」と伊藤さんは話す。40余年に渡り、デザイン性と機能性を兼ね備えた、バリエーション豊かな急須を作...
KOGEI & Me VOL.25
川又栄風さんは、明治時代より結桶作りを代々受け継ぐ「桶栄」の四代目だ。子どもの頃は職人への夢を思い描いていたわけではないというが、大学生の頃より美術や日本文化への興味を持ち始めた。そして、大学卒業後、一般企業に就職したが、1985年に父親の下で職人への道を歩み始める。桶栄での桶作りは、数百年以上変わらない伝統技法を用いることを基本とし、職人たちは、70以上の工程を丁寧に繰り返すことで、より高度なも...
KOGEI & Me VOL.24
木地師である田中瑛子さんは、愛知県安城市で生まれた。幼い頃から工作や裁縫など、手を動かすことが好きで手仕事への魅力を覚えていった。美術鑑賞が好きな両親の影響で、気づけば日本の伝統的な「赤と黒と金」という漆の配色に心を奪われ、漆芸の技術を学びたいと思うようになった。高校卒業後は、大学で漆芸を学ぶ中でさらなる技術を求めて漆器の木地挽きの産地である石川県・山中の研修所に入学。木地師の中嶋虎男氏に弟子入り...
KOGEI & Me VOL.23
蒲地さんと田中さんの二人は、佐賀県有田にある福珠窯で絵付けを担当している。磁器の伝統の地として名高い有田でも、今では絵付け専門の職人は数少ない存在となった。蒲地さんは、姉が働いていたことをきっかけに福珠窯に入社。当時は、大量に器が売れた時代であり、絵付けも細かく分業されており、同じ作業を何度も繰り返すうちに、絵付けの技法を少しずつ覚えていったという。「絵付けは、筆の流し方が大切なんです。私はカチッ...
KOGEI & Me VOL.22
光井威善さんは、広島県出身。子供の頃から、図工や体育が好きだったという。ものづくりへの興味から大学で工芸を専攻し、なかでも最も複雑で難易度が高いと感じたガラス作りに興味が深まっていった。その後、富山県にあるガラス工房に就職。学生時代に自由な作品づくりに集中していたため、仕事としてのものづくりに苦労した。「どんなガラス職人を目指すのか」と自問自答する中で、見つけた答えは自分の中にあった。光井さんは、...
KOGEI & Me VOL.21
副島硝子工業の次代を担う職人である、副島正稚さん。副島さんは「肥前びーどろ」と呼ばれる、佐賀県地方特有の型を用いない宙吹き硝子を得意とする。大学で硝子を学び、入社してからは父や先輩たちの背中を見ながら技法を学んできた。手作業のみで行う宙吹きの成形作業は、熱との対話の日々だ。「硝子のものづくりは、手の器用さだけでなくて、熱のことを理解していないといけないんです。今どこが冷めていて、どこが熱いのかとい...
KOGEI & Me VOL.20
藤本浩輔さんは、有田焼の窯元「藤巻製陶」の長男として生まれ、大学卒業後に京都で製陶の修行を始めた。その後、有田に戻り、作家として陶器作りを開始。4年間、東京で個展を開催するなど、製造から販売までを主体的に経験することで、様々なことを学んだという。こうした作家活動は有田では珍しかったことから、注目を集め、有田焼ブランド「1616/」に作り手として参加することになる。ブランドプロモーションのための海外...