『谷穹 抽象と静寂』展覧会レポート
展覧会・イベントレポート VOL.30
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『ロエベ財団 クラフトプライズ 2023』展が2023年5月17日から6月18日の期間、ニューヨークで開催される。30人のファイナリストの入選作品がノグチ美術館にあるイサム・ノグチのスタジオで展示される予定だ。展示会場はイサム・ノグチが晩年、アメリカで芸術活動の中心としていた場所だが、今まで一般には公開されておらず、今回のロエベ財団 クラフトプライズ 2023の展示で初めて公開される。
今年は117の国と地域から2,700を越える応募があり、専門家委員によって16カ国からなる30人のファイナリストが選出された。日本からは国別最多の6人が選ばれている。選考にあたって、専門家委員会が技術的な達成度、技能、革新性、芸術的なビジョンなどの観点から審議を行ない、最も優れた作品を選出。選ばれた作品は陶芸、木工、テキスタイル、家具、紙、籠細工、ガラス、金属、漆ジュエリー、革、製本などさまざまな分野に及んでいる。
この第6回のクラフトプライズでは、思索を深め、時間をかけた技術や巧みな素材使いを探求した作品が選ばれており、思いがけない形や色彩が遊び心や驚きを感じさせる。一見するとある一つの素材から作られているように見えて、よく見ると全く別の素材であるというような、トロンプルイユ(だまし絵)の技法も多くの作品に見られる。また、光、素材、表面の関係を考察し、素材と形状を上手く扱うことで反射特性を変化させ、動きを感じさせる作品も多い。専門家委員会の委員長、アナチュ・サバルベアスコア氏は「第6回を迎えるにあたり、この賞の性格を確立した以上、我々は扉を開くべきであると感じています。そして、非西洋的な生命力あふれる美学を分析し、造形的なクラフトにアプローチすることで、芸術的な野心のあるクラフトの概念をさらに明らかにすることができ、嬉しく思っています」とコメントしている。
30人のファイナリストの中から選ばれる大賞受賞者は、5月16日にクラフトプライズ2023のオープニングで発表され、賞金5万ユーロが授与される。専門家委員会が選出したファイナリストから大賞受賞者を選ぶ審査委員会は、デザイン、建築、ジャーナリズム、評論、美術館学芸員など各界の第一人者13名で構成されており、日本からはデザイナーで日本民藝館の館長である深澤直人氏が参加している。
毎年開催されている本賞は、1846年にロエベが工芸の工房として始まったことへ敬意を表し、クリエイティブディレクターのジョナサン・アンダーソン氏が考案。ロエベ財団によって2016年に創設された。現代のクラフツマンシップにおける卓越性、芸術的功績、革新性を称えるとともに、作家の才能、ビジョン、未来に新しい基準を確立する革新への意思を認め、今日の文化における工芸の重要性を認識することを目的としている。
■ ロエベ財団 クラフトプライズ 2023 ファイナリスト
(アルファベット順、国・地域別)
志観寺愛(日本)
アランダラッシュ&テロル・デュー・ジョンソン(アメリカ合衆国)
クレール・リンドネール(フランス)
ドミニク・ジンクペ(ベナン)
ドン・ハン(中国)
稲崎栄利子(日本)
ギオルギ・ダニベガシュヴィリ(ジョージア)
ヘリム・シン(韓国)
インチン・イ(韓国)
ジャイック・イ(韓国)
ヤナ・ヴィッサー(南アフリカ)
ヨハネス・クーネン(オーストラリア)
珠数かおり(デンマーク)
ケリョン・チェ(英国)
本間健司(日本)
クリスティン・マッキルディ(フランス)
キョホン・イ(韓国)
リネ・ボドカー(デンマーク)
リアム・リー(アメリカ合衆国)
ルス・モレノ・ピナート(スペイン)
マベル・ペナ(アルゼンチン)
マイナ・デヴィ(インド)
井本真紀(日本)
渡部萌(日本)
ナタリー・ドワイヤン(ベルギー)
プルー・ヴェナブルズ(オーストラリア)
中場信次(日本)
タニア・アギニガ(アメリカ合衆国)
ワンビン・ファン(中国)
ウスン・チョン(韓国)
■ 関連情報
ロエベ財団 クラフトプライズ 2023
展示開催期間:2023年5月17日(水)〜6月18日(日)
会場:ノグチ美術館(ニューヨーク)
ウェブサイト:https://craftprize.loewe.com/ja/craftprize2023