インタビュー:陶芸家・加藤亮太郎
VOICE VOL.7
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豊かな造形センスを生かしながらも、用途のために考え抜かれた形。これらの作品を手に取れば、この作家の自由な、既成概念にとらわれない作陶への姿勢をうかがい知ることができるだろう。今回は、白花に灰釉を掛けた作品や、備前に黒釉を掛けた作品も並んでいた。無釉の焼き上がりの段階でいまひとつだったため、釉掛けし再度焼いてみたところ、良いものができたそうだ。「明確な意図を持って作っているわけではなく、こうして自然とバリエーションが増えてきた感じです。展覧会に来てくださる方には『こんなものも作っているんだ!』と、さまざまな発見や気づきがあっていいと思います。だからこれからもいろいろなものにチャレンジしていきたい」と森本さんは笑う。
美濃で豊場惺也氏に師事した経験は、森本さんに大きな影響をもたらした。「豊場先生のところでの生活は、禅修行のようでした。毎日決まった時間に起きて、掃除などの生活のひとつひとつをきちんとする。生活の基本を教わったと思います。どういう生活をしているかが、全てに繋がるんです。やきものを作るのはその中の一部。いい気持ちで仕事をするためにも、ちゃんと生活してリズムを整えるのは大切なことです」と話す。
展覧会では、その会場の空間に合う作品づくりを意識しているそうだ。暗い空間なら溶け込むような、明るい空間なら光に映えるようなもの。森本さんの作品が会場の空間で生き生きとして見えるのは、作家自身の在り方を、作品が正しく伝えているからなのかもしれない。
■ 関連情報
・ギャラリー 宙
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