インタビュー:陶芸家・加藤亮太郎
VOICE VOL.7
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山中で用いられる木材は主に欅やミズメ、栃など。漆を塗っては拭き取る作業を何度も繰り返し、木目を鮮やかに浮かび上がらせる「拭き漆」仕上げも、木地の素材を活かす山中漆器に欠かせない技術である。木地挽きと拭き漆は、素材の美と技術の粋を凝縮した山中漆器の核となる要素と言っても過言ではない。
安土桃山時代に越前からやってきた木地師の集団が山中に定住し、この地で挽物木地の生産が始まって以来、その技術は発展を遂げ成熟を極めた。筋物挽きの創始者といわれる江戸時代の名工・蓑屋平兵衛は、均等に無数の線を挽いていく「千筋挽き」を得意とした。明治初期に活躍した筑城良太郎は、毛筋、鱗目、稲穂目など、創意工夫を重ねて新しい筋挽きを発案し、現在では数十種類存在するともいわれる加飾挽きの基礎を築いた。筑城は、拭き漆技法の創始者でもある。その後も木地師として初めて人間国宝に認定された川北良造をはじめ、現在も多くの木地師が山中から輩出され、目覚ましい活躍を遂げている。
参考:
・山中塗(山中漆器)オフィシャルサイト
https://www.yamanakashikki.com/
・山中温泉観光協会
https://www.yamanaka-spa.or.jp/
・石川県立美術館
https://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/
・加賀市
https://www.city.kaga.ishikawa.jp/
・我戸幹男商店
https://www.gatomikio.jp/
・小林真理編『日本伝統の名品がひと目でわかる 漆芸の見かた』(誠文堂新光社)