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工芸トピックス VOL.35
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東京都
2025.2.22 – 3.30
根津美術館
2025.2.27 – 3.9
セイコーハウスホール
東京都
2025.3.1 – 3.6
桃居
東京都
2025.3.1 – 3.9
八丁堀 とべとべくさ
胴回りの赤みを帯びた釉の上を大胆に横切る緋色、そこへ口縁からなめらかな白釉が垂れ掛かる。腰元へと目を移せば、くっきりと残された指跡と、存在感ある無数の孔穴が賑やかだ。剥き出しの高台には清潔な土の質感が感じられ、指先に心地良い。横から眺めた時のすっとした直線的な立ち姿は、見込みを覗くと一転して柔和な印象になり、また別の表情を見せてくれる。見どころが多い作品だが、全体の佇まいはあくまで楚々として端正だ。
柳下季器の作品は、常に古典に忠実でありながら、現代的な風情を醸し出す。志野という桃山時代の日本で生まれたやきものが体現する侘び寂びの世界は、作家の手を経て現代にも揺るぎない哲学を持って存在している。作品に対峙し、その普遍的な世界の一端に触れる、それは使い手にとって至福の時であろう。