インタビュー:陶芸家・加藤亮太郎
VOICE VOL.7
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色鮮やかで華麗な絵付けは、九谷焼の最大の特徴である。この美しい色彩に溢れた磁器は、17世紀の加賀藩の御用窯にはじまり、以降石川県南部を中心に発展してきた歴史を持つ。
「金襴手彩色 香炉」は、淡い色彩の水彩画のような表現が印象深い作品。制作者である吉田幸夫は、1906年に石川県小松市に開窯した九谷焼窯元・錦山窯の4代目当主である。吉田氏は錦山窯が代々得意としてきた金彩の技法を用いながら、五彩手等に見られる九谷焼の伝統的な色絵の技法を、洋絵の具を取り入れることで独自に昇華させ、新たな表現を生み出した。
一見斬新な表現は、確固たる伝統に支えられている。産地の歴史、窯の歴史、そして作家個人の歴史が、この思わず見惚れてしまうような美しい色彩の世界を創り出しているのだ。