第5回「三井ゴールデン匠賞」贈賞式レポート
展覧会・イベントレポート VOL.31 AD

展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
京都府
2025.3.22 – 7.27
ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM
東京都
2025.3.26 – 3.31
日本橋三越本店
東京都
2025.3.29 – 4.3
寺田美術
2025.3.30 – 6.1
日本民藝館
岐阜県東部にある瑞浪市。人口約38,000人のこの町は、近隣の多治見市、土岐市と並び、「美濃焼」の総称で有名な磁器の産地である。瑞浪地区の磁器メーカーは、明治20年から昭和40年にかけて海外の食器ブランドの製造を担っており、その精巧な技術は世界的にも高く評価されていた。この地で白磁を手がける「深山」は、1977年、学校の教職員であった松崎捷也さんによって設立。当時、ろくろ成型が主流であった瑞浪地区の中で、ろくろでは難しかった形状の洋食器を製造するため、鋳込み成型の専門メーカーとして始まった。
型を用いた鋳込み成型は、同じ形状の器の量産に向く生産方法であるが、深山では、一つ一つの作業を丁寧に人の手で行うことで、風合いのある器を生み出している。中でも、透明度の高い白磁は大きな特徴の一つとされており、透き通るような白磁の上に柔らかな装飾を施すことで、様々な器の製造に対応している。 深山の特徴的な装飾技法の一つに、「里泉焼」と呼ばれる銅板絵付けの転写技法がある。水を含ませた刷毛を紙の上からなぞることで、生地に転写を行う。凹凸ある手触りが特徴で、透明度の高い白磁と美しく馴染む。
深山は、複雑な形状のティーポットなど、精巧なものづくりを得意とし、安定的な生産を行っている。現在は、捷也さんの息子である英之さんが代表を務め、茶器や小皿など、和食器の開発にも力を入れており、業務用食器の製造以外にも、専属デザイナーによるオリジナル商品の企画・開発も行っている。