MUFG「KOGEI ARTISTS LEAGUE」開催決定
工芸トピックス VOL.30
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
東京都
2024.11.20 – 11.26
日本橋三越本店
東京都
2024.11.21 – 11.26
桃居
東京都
2024.11.23 – 11.28
柿傳ギャラリー
東京都
2024.11.23 – 12.1
八丁堀 とべとべくさ
江戸時代初期から、豊前小倉藩(福岡県北九州市)の特産として重宝された「小倉織」。立体的な縞模様が特徴的な織物は、主に武士の袴や帯などに用いられ、丈夫さゆえに全国各地へ広まったが、昭和初期に小倉織の生産は途絶えてしまう。それを復元・再生したのが、染織家の築城則子さんだ。偶然発見した一枚の小倉織のハギレを丹念に調べながら試行錯誤を重ね、1984年、小倉織を蘇らせることに成功。より多くの人々に愛されて欲しいとの願いから、汎用品の生地開発を目指し、手織りでは難しい広幅の機械織りによる生産を可能にした。機械織りの小倉織を担うのが、則子さんの妹の渡部英子さんが代表を務めるブランド「小倉 縞縞」である。
小倉織は、良質の木綿の糸を使用した先染めの平織り物。細い糸を高密度で織ることから、かつては「槍をも通さぬ」と言われたほど丈夫であり、しなやかさと滑らかさも兼ね備えている。美しいたて縞の奏でるリズムが心地よいこの織物は、その製造方法も特徴的だ。まず特筆すべきは、経糸の数である。小倉織は、緯糸1本に対して経糸3本が使用されている。一般的な生地と比べて密度の高い経糸が緯糸に重なり、色の濃淡が緩やかなグラデーションとなって、たて縞の表情が浮かび上がる。また、使用される糸は60双(ろくまるそう)という細めの糸で、この糸の細さと経糸の密度が、小倉織の滑らかな質感を演出。使い込むごとに光沢が増し、なめし革のような独特の質感へと変化する。この経年変化も、小倉織の魅力の一つである。だが、細い糸を使用した高密度な織り方は、経糸が切れるトラブルが起こりやすいため、熟練の職人技が欠かせない。機械織りにおいても同様で、職人らが常に細心の注意を払って製造している。
「小倉 縞縞」は、ブランド立ち上げ以降、ドイツのアンビエンテ、フランスのメゾン・エ・オブジェ、イタリアのミラノ・デザインウィークなど、積極的に海外の見本市に出展し、国際的な高い評価を得てきた。2010年にグッドデザイン賞を受賞した「小倉縞縞 風呂敷」をはじめとするバリエーション豊かなファッションプロダクトに加え、インテリアや建築関連分野でもその需要は高まりつつある。こうした展開をさらに後押しすべく、2018年に生産管理を担う小倉織物製造株式会社(社長:築城弥央氏)を設立し、自社工場の運営を開始した。現代のライフスタイルに似合うモダンな小倉織として進化を続ける「小倉 縞縞」。その今後の発展に世界が注目している。